ダウン症の子のいる暮らし 健・育・学・遊 ~自立をめざす母親のブログ~

H13年にダウン症(21トリソミー)の子どもを出産、現在子育て真っ最中の母親です。 絶望的な気持ちでスタートした子育てですが、いろいろと問題はあるものの笑いあり、涙ありの楽しい毎日を過ごしています。 子育てをしてきた中で、悩みの解消、役に立った情報、成長の道筋、健康管理なども交えて書いていきます。

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ダウン症児の言葉を育てる② 言葉の役割とは?言葉の発達に必要なものとは?

   

全般的な発達と言葉の発達について密接な関係があると書きましたが・・・

言葉の果たす役割はとは何でしょうか?

言葉の役割はいろいろありますが、まず言葉は、「親の言葉がけを通して、親子の関係が、楽しく豊かなものになっていく」そのようなものであってほしいと思います。

他者とよりよいコミュニケーションを考えたとき、言葉の果たす役割は大きいです。そのために、教えようとつい力が入ってしまうところかもしれません。

 

言葉を育てるのに、言葉がけは大切です。でも、発達を焦るばかりに、ものの名前を教え込むことに重きをおいていないか、ふり返ってみることは必要です。

確かに、言葉は、『ものに名前をつける道具』という機能があります。すべてのものに名前があり、出来る限りたくさんの名前を知って欲しいとは思います。

 

しかし、まずは、「話したい。コミュニケーションをとりたい。」という気持ちを育てていくことが一番です。だから、子どもと活動を共にするなかで、教えるだけでなく、気持ちを伝える、共感する、励ます、褒めるなどの言葉も意識し、やりとりを楽しみながら、内面を育てていくことが、まず大切なことです。

言葉は、『コミュニケーションの手段』『意志や感情を表す道具』『思考するための道具』『人や自分の行動をコントロールする道具』としての機能もあるからです。

 

言葉は、独立して発達するものではなく、その時期の全般的な発達と密接に関わりあいながら伸びてくるものです。言葉が育つための土壌もつくりながら、伸ばしていきたいものです。

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では・・・・

言葉の発達に必要なものとは何でしょうか?

言葉の発達を支える3つの要因 ~対人関係、認知能力、運動能力~

1.対人関係

自分と相手との間で、気持ちを伝えあいたいという親密な対人関係が成り立っていることが大切です。

 

健常児であれ、ダウン症児であれ、赤ちゃんが初めて話す言葉は、「マンマ」とか「ブーブー」であることが多いようです。

「マンマ」は、食べ物を『要求』する時の言葉、あるいは「お母さんこっちへ来てよ」とお母さんに『要求』を伝える言葉です。「ブーブー」は、「自動車が欲しい」という『要求』であったり、「あ、自動車がきたよ」という『感動』を伝える言葉であったりします。(余談ですが、車社会になると同時に、この「ブーブー」が上位にランクされるようになったようですね)

 

私たち自身も、『要求』や『感動』を伝えたいと思う相手は、親密な関係が成り立っている人だと思います。この『対人関係』は、前言語期(言葉を話す前の乳児期)のお母さんとのスキンシップや、表情、声ののやりとりをたくさん経験して育っていくものです。

 

まず、親子の関係をしっかりつくり、そして、たくさんの人に触れあっていく、親密な「対人関係」を築いていくということが言葉の発達の重要な要因のひとつと言えます。

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2.認知能力

言葉には、伝えようとする事物を十分経験し、それらを概念とするための認知能力が必要です。

 

認知能力って何?って思いますね。

 

たとえば、リンゴを見て、「リンゴ」といえるようになるためには、りんごを何度も見たり触れたり食べたりして、りんごは赤くて、丸い、食べると甘酸っぱい、触ると硬くて、皮をむくと黄色いなど、りんごを経験する必要があります。

そして、その経験からりんごをイメージできなければなりません。イメージをつくるために、子どもが今、経験していることを意識させてあげる人がいなければならないのです。そのイメージと音声記号の「リンゴ」という音が結びついて、概念化されるのです。

単に音声とイメージとの結びつきだと思ってしまいますが、実は、非常に高度の『認知能力』を要する過程です。

 

知的に遅れのある子どもの場合、この過程がなかなか完了しないのです。完了した結果が「リンゴ」という言葉の獲得を意味します。

獲得した結果、「あれが食べたい」という気持ちから、頭に浮かんだりんごのイメージと音声を呼び出して、「リンゴ(が食べたい)」と言うことが出来るようになるのです。

 

言葉の獲得にとって重要な頭の中でのさまざまなプロセスを支えているものが、この「認知能力」と言われるものなのです。

 

丁寧に経験を重ねて、それを言葉(音声)とつなげていくことが「認知能力」を育てていくことにつながり、言葉の発達の重要な要因のひとつになるのです。

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3、運動能力

言葉には、正確に音声を発するよう、構音器官をコントロールする運動能力が必要です。

 

普通、話をするのに運動能力を意識することはありません。
熱いものを食べて口の中に火傷をつくった、口内炎ができて痛い、歯痛、治療中でうまく物が噛めないときなど、無意識に行っていた運動能力によるコントロールを意識します。

歯科で麻酔治療をした経験がある人は、うまくコントロールが効かなくなっている状況をご存知だと思います。

 

口唇や舌のコントロールは、微細な身体運動で、手指のコントロールと共通性があると言われています。さらに、手指は、全身を使った歩く、走る、蹴る、跳ぶ、投げる等の粗大運動と関連して発達します。
だから、粗大運動は、口唇や舌のコントロールの基礎ともなっているのです。

 

赤ちゃんが初めて話すことが多いといわれる「マンマ」と「ブーブー」は、上下の2つの唇を使って発音する音(両唇音)で比較的容易に発声できる音だというのも納得です。

そう考えると、手指の不器用さが指摘されることの多いダウン症の人と言葉の不明瞭さとがつながっているのかなとも感じます。

 

たくさん歩き、元気に遊ぶ子どもたちは、全身の筋肉が鍛えられ、身体各部が互いにうまくかみ合って働くようになり、口唇の微細なコントロールが向上していくのでしょう。
それが、はっきりした発音で話せることにつながると考えらます。

 

活発に、うまく身体を動かすための「運動能力」は、言葉の発達にとって、これもまた重要な要因とひとつなのです。

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まとめ

言葉の発達のためには、全般的な発達も大きくかかわってきます。その子、その子のペースにあわせて慌てず、やりとりを楽しみながら丁寧にかかわっていきましょう。
そして、言葉の果たす役割を頭の片隅に置きながら、言葉の発達を支える要因(人間関係、認知能力、運動能力)も意識しつつ、子どもと豊かな時間を過ごしていってほしと思います。

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