ダウン症の子のいる暮らし 健・育・学・遊 ~自立をめざす母親のブログ~

H13年にダウン症(21トリソミー)の子どもを出産、現在子育て真っ最中の母親です。 絶望的な気持ちでスタートした子育てですが、いろいろと問題はあるものの笑いあり、涙ありの楽しい毎日を過ごしています。 子育てをしてきた中で、悩みの解消、役に立った情報、成長の道筋、健康管理なども交えて書いていきます。

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ダウン症児の言葉を育てる③言葉の発達を促すのはいつ?どうやって働きかけるの?

      2016/05/05

言葉の発達をうながすためには、何か特別なことをやらなければならないか?といえばそうではありません。
では、どうやって働きかけていくか?というと、日々の生活をゆっくり丁寧にかかわりながら、育てていくということでしょうか。

言葉は、これをしたら必ず伸びるというものではないからです。いろんなものが複雑に絡み合って発達していくからです。そのうえ、わずかな期間でなんとかなるものでもありません。

ダウン症児の言葉を育てる②で言葉の発達に必要なものについて書きましたが、言葉を育てていくためには、「対人関係・認知能力・運動能力」が大切で、これらの相乗効果(3つの要素が含まれた活動)により言葉の発達が促されていくといわれています。しかし、その相乗効果が言葉につながっていくって言われても、ちょっとつかみどころがない気がします。

 

では、言葉の発達を促すために、いつ、どうやって働きかけるの?

 

乳幼児から就学までの1日の生活時間を考えてみましょう。

1日のうち、半分以上が睡眠、食事、着脱、排泄などの「生活」の時間です。そして、その残りの時間が「遊び」の時間です。
少しずつ年齢が上がるにつれ、「生活」に費やす時間が短くなり、増えるのが、「遊び」の時間と少しの「課題」(学習)の時間となっていきます。

 

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それでは、それぞれの時間のことについて考えてみたいと思います。

 

「遊び」の時間について

乳幼児から学齢期の多くの子どもが喜ぶ大好きな遊びは、”たかいたかい”をはじめとする「身体の揺らし遊び」です。

なぜ、”たかいたかい”が楽しい遊びなのでしょうか?

それは、言葉の発達を支える3つの要素がすべて含まれているからです。

”たかいたかい”は身体を揺らす運動遊びの一種です。揺らされる子どもは、楽しみながら、自分の姿勢をコントロールするのです。(運動能力)

そして、揺らしてくれる人、お父さんやお母さんのスキンシップがあります。お父さんはお母さんは子どもの様子を見ながら、時には優しく、時には激しく揺らしてくれます。(対人関係)

自分の体と揺さぶってくれるお父さん、お母さんとの身体の大きさや感触の違い、揺らされることで変化する位置関係を実感します。これは、最も基本的な(認知能力)です。

ままごとなどのごっこ遊び、指遊びや手遊び、道具を使う遊びなど、共に遊んでくれたり、声をかけてくれる人がいて、3つの要素がすべて含まれた上での「遊び」が成り立っていることが大切だと思います。

このように、3つの要素が含まれた活動がこの時期子どもの「遊び」であると考える方がよいでしょう。

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では、テレビについてはどうでしょうか?

テレビやDVDは見ているだけなので運動能力は含まれません。テレビゲームの操作と言っても果たして運動能力に値するのでしょうか。もちろん対人関係はありません。認知能力に関しても、見ているだけでは、たとえ何らかの言葉(音声)を覚えたとしても、理解して使うことは難しいでしょう。

 

私自身、子どもには(健常児だったとしても)「こちらの言っていることも理解できないうちは、絶対にテレビは見せないでおこう」と決めていました。
「見せるようになったとしても、出来る限り一緒に見て、子どもの反応や様子を見ながら、楽しめるもの、働きかけができるものを選択しよう」と思っていました。

かって、実家の父に「テレビも見せないからしゃべれない」と言われたことがありましたが、「テレビを見せていたら、もっと理解力のない子になっていたはず」と即答していました。

意味もなく、理解もせず、コマーシャルだけ口ずさむお子さんを見ると、とても残念な気持ちがします。
理解して、面白がってやる分にはいいんですけどね・・・

今の時代、テレビ、携帯、インターネットは避けて通れません。出来る限り上手に活用して、わけのわからないうちから常に子守に使うということはないようにしたいものです。

テレビは、目と耳からだけの情報です。
視覚情報と聴覚情報を分析・統合して理解するには、小学校中学年程度の言語能力と知的能力が必要だといわれているのですから。

 

「生活」の時間について

日常生活には、食事、排泄、衣服の着脱、洗顔手洗い、入浴、睡眠、お手伝い等、年齢に応じて身に着けてなくてはならない基本動作がたくさんあります。

生活リズムを整えて、ひとつひとつの活動に十分な時間がかけられる環境づくりをすることが、まず大切なことです。
時間はかかるけれど、時間をかけることができれば、できるようになるからです。
お母さんがやってしまえば早いのですが、そこに時間をかけれれるかどうかが将来の自立につながっていくところです。

衣服の着脱ひとつをとっても、子どもの着脱動作を丁寧に励まし、導いていく対人関係、着脱自体の活動が運動能力、衣服を選び、選んだ衣服を自分の身体と関係づける認知能力を含んでいる活動なのです。

そして、それが言葉の発達に関わる大事な活動のひとつなのです。

また、この生活に費やす時間を短縮することが、遊びや将来の課題学習、仕事に十分な時間をかけられることになるのです。

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「課題」の時間について

課題学習は、遊びや生活場面だけでは育てきれない大切な能力を育てる場面として考えます。
もちろん、基本能力を高めることは大切です。
しかし、当面する課題に集中する力、目の前の相手に自ら向かい合っていく力=「学習態度」と考え、中心的なものとして位置づけています。

ダウン症児に多く見られる問題点として、あげられていることは、(ダウン症児のことばを育てる 福村出版より)
・気のむかないことは続かない
・集中力、持続性に欠け、すぐあきてしまう
・取りかかりが遅い
・気持ちの切り換えがうまくいかない
集団行動では、
・クラスの一斉指導だけでは理解できない
・ルールのある遊びに参加できない
・交友関係が広がらない
・友だちよりも教師との関わりを強く求める

これらは、学習態度を身につけることで、ある程度解決できる問題ともとらえられています。

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まさに、これらの問題点は、家の娘にあてはめてみても”その通り”というしかないです。
そして、課題は、遊びの延長上での取り組みとして家庭内で取り入れてきましたが、学習態度を育てるという面では、どうだったかな?と思う部分もあります。
今になると、保育所に入る前に、私以外の誰かともっとしっかり向き合う場面をつくることも大事だったかな?そう、思うこともあります。(まったく療育施設に通わなかったので)

しかし、保育所生活の中で、学校生活の中で、少しずつ改善されてきたことは、多くあります。まだまだだなと思う部分もありますが、働きかけをやめない限り解決されていく問題だとも感じています。

 

参考図書↓

この本のことばの指導プログラムについて

言葉を育てていくための「指導プログラム」が系統立てて組まれていて、発達に応じて取り組んでいけるようになっています。
保育士として、保育を勉強したので、まさに健常の子どもをちょっと丁寧に育てる感じだなと思いました。

成長のスピードはゆっくりでも、やはり健常児と育ちの道筋は同じなので、「遊び」「生活」「課題」を組み合わせたプログラムが発達に合わせて上手に構成されていると感じました。
意識的に関わって、少し丁寧にやっていくことで伸びていくだろうと感じさせるるプログラムです。

この本のプログラムを見てやってきたわけではありませんが、健常児と道筋は同じと考えて育ててきたので、やってきていることは同じようなことだったかなと思います。立派に成長してきたよと偉そうなことは一つもいえませんが、参考になることもあるかと思いますので、娘が実際にやってきたことも少しずつ書いていきます。

 

まとめ

よりよい言葉の発達を望むなら、日常生活の「遊び」「生活」「課題」の時間の中で、「対人関係」「認知力」「運動能力」の3つが含まれているか、ちょっと意識しながら、丁寧にかかわり、働きかけていきましょう。

 - ダウン症児の言葉について